初心者がおさえておきたい基本ポイント

射の流れは基本を守ることが上達への近道

弓道では、射を行う際、「体配」に気をつけなくてはいけません。体配というのは弓を引くときの射型以外の動作のことです。例えば、歩き方や体の向きの変え方、礼の仕方といったものから、弓を引くときの立ち方、座り方などです。また、射にははじめから終わりまで立って行う「立射」と、座る動作が含まれる「坐射」の2種類があります。立射と坐射は、体配で異なる部分があります。弓道では射型だけでなく前後の動作や入退場も非常に重要視されており、正しく美しい体配を身につける必要があるのです。ここでは、審査における行射法でもある坐射をもとに射の流れをみていきます。

入場の仕方と順番、弓具の持ち方について

通常、射は3~5人ほどで組になって行われます。大きな会場では10人以上で一組となる場合もあります。審査や大会では射手の順番が決まっており、この順番通りに並んで入場となるのです。組の中で一番最初に射る人を「大前(おおまえ)」と呼び、入退場から行射まで全ての動作の先頭を大前が務めます。大前より後の人は、入退場は大前の動きにならって進みます。

入場の流れ

まずは、大まかな入場の方法をご紹介します。揖の対象や入り口から本座までの距離は弓道場によって異なります。審査の際は、本番の前に射場の広さを確認しておくと安心です。また、もし大前になったときは自分のペースで動いていいのですが、他の人のことを考えたペースを意識するとより良いといえます。

<入場>

1:敷居の前で、両足を揃えて入り口の真ん中に立つ
2:左足から大きく踏み出し、敷居を跨いで射場に垂直に入場する
3:右足も大きめに踏み出し、左足のかかとをこするようにしながら揖の対象(神棚や国旗)に体を向ける
4:左足を右足に揃えて、揖(ゆう)
5:左足から的方向に踏み出す
6:本座を目安に数歩進んだところで、右90度に曲がる
7:的の位置を確認しながら本座まで進む
8:本座の線に膝頭を揃えて座る

弓具の持ち方

・弓

入場時、待っている間は末弭(うらはず/弓の上端)が射場に入らないようにします。移動の際は、弓を握る左手を腰にしっかりとつけて固定し、末弭が床上10㎝ほどにあるよう維持します。

・矢

基本的に、一度の射で甲矢(はや)と乙矢(おとや)の2本を射ます。これを「一手(ひとて)」と呼びます。大会などでは一度の射で二手(ふたて/4本)を射ることもあります。入退場の際は矢をまとめて持つため、落とさないよう注意が必要です。武射系では矢尻を右手の内に隠すように持ち、礼射系では矢尻から10㎝ほどの部分を持つという違いがあります。

入場時、気をつけておきたい点

弓道では、移動時はすり足が基本です。また、歩く速度が早すぎたり遅すぎたりしないよう気をつけましょう。速度が他の人と合わないと、弓がぶつかったり入場がスムーズにいかなかったりします。また、慣れないうちは体配に集中するあまり、弓の末弭が床についてしまうケースも多く見られます。焦らず、ゆっくりと確実に一つ一つの動作をこなすことが大切です。

基本的な射の流れとは

構え

射の構えである「射型」は、武射系と礼射系で違いがあります。また、流派によっても細かな部分が異なります。

・武射型の構え…足踏みは二足で開き、弓構えは斜面打起こし
・礼射型の構え…足踏みは一足、弓構えは正面打起こし

射の始まりから終わりまで

基本的な射の流れは以下の通りです。大前が動きを先導し、他の人は大前の動きに合わせます。行射が始まったら、自分より1~2番前の人の動きや音を確認しながら射を行います。

①同じ組の人とタイミングを合わせて揖をする
(※前の組がいる場合は、前の組の落の弦音で揖をする)
②腰をきり立ち上がる
③射位まですり足で移動
④跪坐(きざ)し、脇正面に向きを変えて弓を立て、矢を番えて待つ
⑤起立し射を行う
⑥射終わったら跪坐し、矢を番えて待つ
⑦前の人の弦音で打起こし、射を行う
(※大前は、落の弦音で取懸け)
⑧射終わったら順次退場する

立ち上がるタイミングは、2つ前の人の弦音が目安となります。取懸けは1つ前の人の弦音が目安です。大前の次の人は、大前の胴造りで立ち、大前の弦音で取懸けです。ただし、組の人数や射の速さによっても異なるので、臨機応変さも求められます。

退場の仕方と注意点

退場の方法

①射終わったら、右足から足を閉じる
②右足から退場
③退場口の手前、弓の末弭が敷居に届くあたりで上座に向かって揖
④体の向きを変え、最後は右足で敷居を跨ぎ退場する

基本的な退場の仕方は上記の通りですが、落だけ動きが異なります。落は行射後、以下のような流れで退場します。

① 射終わったら、右足から足を閉じる
② 右足から一歩後ろに下がる
③ 右足から本座を回り込むように進み、次の組の後ろを通って退場口方向へ進む
④ 退場口の手前、弓の末弭が敷居に届くあたりで上座に向かって揖
⑤体の向きを変え、最後は右足で敷居を跨ぎ退場する

退場時、気をつけておきたい点

退場の際は、退場口を出ても3歩ほどは姿勢を崩さずに進むことを心がけます。退場口付近はまだ射場から見えるので、審査会では退場後の姿勢まで厳しくチェックされるからです。射場から完全に退場し、審査員の目の届く範囲を超えるまでは気を抜かないよう注意が必要です。

まとめ

入退場の仕方は慣れるまでは難しく感じられます。特に審査会での入退場は通常の稽古時とタイミングも雰囲気も完全に異なり、初心者は大きなプレッシャーにさらされます。しかし、慣れてしまえば他の人の動きに合わせて自然と体が動くようになるので、根気良く何度も練習することが大切です。

自然な流れで組全体の調和が取れた入退場は、行う側も見ている側も気持ちの良いものです。弓道では入退場と射は全て一連のものとみなされるので、日頃から行射だけでなく入退場の作法についても練習することを心がけましょう。また、審査会では自分がどの位置になるか直前までわかりません。大前や落になっても慌てないよう、さまざまな位置での入退場を練習する必要があります。

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